『新モデルで生かされる木材』 |新着情報|ウッディライフ

『新モデルで生かされる木材』

『新モデルで生かされる木材』 | 社長コラム「一期一会」

ひだまりの森 岐阜展示場で、新しいモデルハウスづくりが進んでいます。
今日は、和室の床の間の床板(とこいた)に使う「神代(じんだい)くるみ」と、リビングのテーブルになる「楠(くすのき)の一枚板」の話です。
どちらも、私たちが「選んだ」というより「出会った」木です。
経営計画書に僕は、扱う素材についてこう書いています。
「素のままの素材を、ただの材料とはせずに、個性や特性、背景に心を寄せ、素材に敬意を払い、最大限に活かす」
その木はどこで育ち、どんな時間をくぐり抜けてきたのか。
どんな性格で、何が得意なのか。
そこに心を寄せて、その木が一番輝く場所に据える。
今回の二枚の板は、この言葉をそのまま形にしたような存在であり、新モデルハウスを象徴するような木材です。

①神代クルミ:大地に染められた、時間の木
灰色がかった深い褐色の板が神代くるみです。
「神代木」とは、洪水や土砂崩れなどで地中や水の底に埋もれ、数百年から千年以上を経て掘り出された木のこと。
人が育てて伐るものではなく、偶然掘り出されたときにしか出会えません。
クルミは、川沿いや谷筋に育つ水辺の木です。この木もきっと洪水や土砂に倒れ、泥と水の底に眠ったのでしょう。
酸素が届かず、腐らせる菌が働けなかったからこそ、今ここに残っています。
河合銘木の白木さんが言うには、数百年!?とのこと。真相はわからないが、相当に古くから地中に眠っていた木材です。
この色は、誰かが塗ったものではありません。クルミに多く含まれるタンニンが、土や水の中の鉄分と長い年月をかけて反応し、大地が染め上げた色です。
染まり方は一枚ごとに違い、同じものは二つとありません。工業製品なら「ムラ」と呼ばれるところが、この木の個性です。
この神代クルミを新モデルでは床板(トコイタ)に使います。
床の間は、和室の中で一番心を向ける場所です。床板は踏まれることなく、掛け軸や花を受け止めながら、日々静かに眺められます。
障子越しの柔らかな光を受け、季節や時間帯で色の深さが変わって見えます。
何百年もの時間を宿した木を据えるのに、ここ以上の場所はないと考えました。

②楠(クスノキ)の一枚板:人が集い、守られてきた木
ダイニングテーブルには楠の一枚板を設置ます。この板は一目惚れでした。
明るい木肌の真ん中を墨を流したような濃い筋が走り、節の跡やさざ波のような模様が表れています。
楠は、日本で最も大きく長く生きる木のひとつ。全国の神社では樹齢千年を超える大楠がご神木として祀られ、その木陰に人が集い、暮らしが営まれてきました。
日本書紀には、スサノオノミコトが楠を舟をつくる木と定めた話もあります。
楠は繊維がねじれ合うように育つため、割れにくく丈夫で、光の角度で輝きが変わる「杢(もく)」が現れます。
また、楠からとれる樟脳(しょうのう)には清涼感のある香りと虫を寄せつけにくい性質があり、昔から箪笥や衣装箱など、大切なものを守る道具に使われてきました。
その、一目惚れした楠は、ダイニングテーブルとして生かされます。
全長3.5mほどの大きな大きなテーブルです。
大楠の木陰に人が集ったように、家の中で人が自然と集まる場所がテーブルです。ごはんを食べ、語らい、子どもが宿題を広げる。
人を見守り、大切なものを守ってきた楠を、家族の真ん中に据えたいと考えました。
だから節や筋、耳の形は消さずに活かします。毎日手が触れ、少しずつ艶を重ねて、明るい木肌は深い飴色へと育っていきます。

「見つめる木」と「集う木」
床の間の神代クルミは、静かに時間を見つめる木。
リビングの楠は、人が集い、触れ、暮らしを重ねる木。
大地の中で数百年を過ごした木と、地上で人を見守りながら育った木。

それぞれが一番輝く役割を担ってもらう。それが「最大限に活かす」ということであり、時を重ねるほど美しくなる「経年美化」の家づくりだと、私たちは考えています。
モデルハウスが完成したら、ぜひこの二枚の木に会いに来てください。
写真では伝わらない色の深さや楠の香り、手触りを感じていただけたらうれしいです。

尚、新モデルでは、「檜」「杉」といった岐阜県産針葉樹に加え、「栃」「桜」「栗」「楢」など、多くの国産・岐阜県産の広葉樹が多く使われます。
特に、飛騨高山産の栗や桜の広葉樹の利用は、新しい取り組みと提案となり、チャレンジです。