『これは贅沢な施設ではない』
「贅沢」という言葉が、ずっと頭に引っかかっていた。
木造施設建築事業部が手がけた老人介護施設が完成し、先日、引渡しを迎えた。桧の床、珪藻土の壁、杉の建具。現場に足を踏み入れたとき、思わずこう言いたくなった。
「贅沢だなあ」と。
でも、すぐに自分でその言葉を打ち消した。
今の介護施設の「当たり前」を思い返すと、ビニールの床に、ビニールクロスの壁。窓は小さく、外の緑や空を楽しむような設計にはなっていない。それが「普通」とされている世界で、桧の床や自然光がたっぷり差し込む大きな窓を見れば、そう感じてしまうのも無理はない。
だけど、本当にそうだろうか。
今回の事業主さんとお話していて、胸を打たれた。
「窓を大きくして、緑や空を見せてあげたい。自然のものに触れてほしいから、無垢材で仕上げたい」。
そんな、ただただ入居者を思う言葉だった。
これを「贅沢」と呼ぶのは、何かがおかしい。
本来、これは「当たり前」であるべきではないか。
ひだまりほーむが施設建築に取り組むとき、いつも意識していることがある。
「大きな家をつくる」ということだ。
普段の家づくりと何も変わらない。
外とつながり、光と風が通る、気持ちの良い「住まい」をつくる。それだけのことだ。
それが施設では、なぜか「特別なこと」になってしまっている。
岐阜の木で家をつくることを当たり前にしようと始めたひだまりほーむ。
今度は、大きな木の家を施設建築の「当たり前」にしていきたい。
そして、引渡しのあと、うれしい知らせが届いた。内覧会を経て、19床のうち15床が、あっという間に埋まったそうだ。しかも、職員さんの募集もインスタグラム経由で問い合わせが来ているという。宣伝らしい宣伝は、何もしていないにもかかわらず。
やっぱりそうなんだと思った。利用者さんも、そこで働く人も、こういう「優しい場所」を求めている。そのことが、はっきりと見えた気がした。
こういう施設が、もっと岐阜に、そして全国に広がっていくように。自分たちにできることを、これからも積み重ねていきたい。
合同会社結ぶ 「木もれ陽テラス」
不破郡垂井町宮代字中瀬2725番1






