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『水鏡』

『水鏡』 | 社長コラム「一期一会」

少し前、近所の田んぼに、ようやく水が入った。
この時を待っていた。
先日は、田植えだったようで、小さな苗たちが、静かに水の中に立っている。
風が吹くたびに、水面が揺れる。
揺れるたびに、空が揺れる。
ああ、空が二つある。
そんな朝が、この季節にはある。
水辺を歩いていると、どこからともなく、涼しい風が頬をなでる。
やさしい風だ。
朝の散歩の楽しみ?ご褒美?のひとつ。
夜はまた、格別だ。
月あかりが水面に落ちて、眩しいくらいに、あたりを照らす。
静かなのに、明るい夜。
いつもとは違う景色な気がする。

隣を歩く愛娘・柴犬つきは、そんなことはまったく気にしない。。。
鼻を地面にくっつけたまま、黙々と歩く。
一緒に感動してくれたら嬉しいのにな。。。
つきはつきで、自分だけの世界を歩いているんだな。
それもまた、いいか。(笑)

田んぼの苗は、今はまだ小さい。
でも、毎朝ここを通るたびに、少しずつ、少しずつ、大きくなっていく。
その成長を、僕は楽しみにしている。
季節が変わる。
風が変わる。
景色が変わる。
変わらないのは、毎朝ここに立って、空と水と、小さな命を見ている、この時間だけだ。
豊かだな、と思う。

しかし、そんな田んぼもどんどん減っていいる。
埋め立てられ、宅地化する。。。
住宅屋としては少々複雑な思いで、田んぼの埋め立てを見ている。

でもやっぱり、この風景は残って欲しいと願ってやまない。