【現地レポ+建築・技術目線】大阪万博に行ってきました!
こんにちは、リノベーション部施工課の橋浦です。
先日、家族で大阪万博に行ってきました。6月28日(土)の入場者数はなんと過去最多の17万7,000人!どこを見ても人、人、人でしたが、家族全員とても充実した1日を過ごすことができました。
ネタばれし過ぎてもいけないですが、簡単にご紹介していきます。
■ 早朝出発で大混雑を回避?
今回はスタッフに教えてもらった必需品(折りたたみイス、モバイルバッテリー、水筒)を持参し、朝4時半に岐阜を出発。会場には7時20分到着し、9時20分にようやく入場できました。早めの行動が吉ですね。
■ いのちパークからスタート
最初に訪れたのは「いのちの遊び場クラゲ館」と「いのちめぐる冒険」。
どちらも予約なしで入れましたが、体験を通じて「いのち」の大切さに触れられる内容で、特に子どもたちの目が輝いていたのが印象的でした。
建築的に見ると、自然素材を取り入れた内装や曲線的な空間構成が印象的で、子どもたちが安心してのびのび動けるよう設計されていたのがとても好感でした。パビリオンという一時的な建築でありながら、しっかりと「居場所」が設けられている点も注目です。
■ 圧巻の大屋根リングとドイツパビリオン

中央の大屋根リングは、まさに「構造美」のかたまり。スケール感がとにかく桁違いで、リングに近づくほどに、その構造体のリズム感や力の流れが肌で感じられます。木造ではないにせよ、大きなスパンをどう成立させているか、思わず目を凝らしてしまいました。
その後訪れたドイツパビリオンは、内部の展示だけでなく、建築としてもかなり刺激的でした。内部は可変性のある空間構成で、動線に合わせて光や映像が連動する仕組み。展示だけでなく「空間そのものが体験装置」になっている印象を受けました。
ランチもドイツ館でいただきましたが、木と金属をミックスしたインテリアはとても洗練されていて、食事のひとときにも心地よさがありました。
■ ガスパビリオンと未来のエネルギー
午後は、予約が取れた**ガスパビリオン「おばけワンダーワールド」**へ。こちらはEメタンという次世代エネルギーと地球温暖化について学べる展示ですが、演出がとてもユニークで、バーチャルと空間構成の融合が見事でした。
中でも印象に残ったのが、リアルな建築空間を舞台にしながら、デジタル演出で“ありえない”空間体験を演出していた点。最近の建築のトレンドでもある「XR×空間設計」の可能性を感じました。
■ 韓国・アメリカパビリオンと夜の締めくくり

夜には韓国・アメリカパビリオンも見学。外観・内装ともにそれぞれの文化性を打ち出したデザインで、構造の考え方も違って面白かったです。特にアメリカパビリオンはガラスと鋼材の対比が見事で、夜間照明との組み合わせも映えていました。
花火ショーは残念ながら間に合いませんでしたが、音だけでもスケール感が伝わるほどの迫力でした。
最後は長男のリクエストでコモンズBを見学し、少しだけOne World One Planet ドローンショーを鑑賞して帰路につきました。
■ 建築好きとしても満足の1日
予想以上に多くのパビリオンを回れて満足でしたが、建築的にも非常に多くの刺激を受けました。
仮設建築とは思えない空間構成や素材の使い方、そして何より**「人の動きや感情をデザインに取り込む工夫」**が至るところに感じられたのが印象的です。
そして、スタッフの方々の笑顔とホスピタリティは、まるで建築の「仕上げ」かのように、空間の価値を高めていると感じました。
■ 建材・構法の工夫に見る「仮設を超える仮設建築」
万博は“仮設建築”で構成されているのが特徴ですが、一時的であることを前提としながらも、非常に高いレベルで意匠性・構造性・持続性が両立されていると感じました。
特に目を引いたのが、以下の点です:
◆ ドイツパビリオン
このパビリオンは、CLT(直交集成板)やリサイクルスチールの使用が随所に見られ、環境負荷を抑えながらも堅牢な構造を実現しているのが印象的でした。
天井にはプレファブの木質パネルがモジュール化されており、施工性の高さと再利用性の高さを両立していると推察されます。
現地の展示内容(エネルギー・サステナビリティ)と空間構成・素材がしっかりリンクしていて、建築としての一貫性を感じました。
◆ 大屋根リング
巨大スパンを支えるリング構造は、トラス構造とケーブル補強のハイブリッド。これは一見すると“ただのリング”ですが、実際には張力と圧力のバランスで成り立つテンション構造であり、材料の無駄を極限まで削ぎ落とした設計です。
部材ごとに溶融亜鉛メッキの仕上げが施されており、屋外での耐久性も考慮されていることがわかります。
また、地上レベルでは鋼製支柱とRC基礎の接合部が工夫されていて、解体時の分離性(リサイクル性)まで見据えたディテールが確認できました。
◆ ガスパビリオン
外壁材には一部透過性の高いETFEフィルムが使用されており、昼夜で表情が変化するのが面白い。内部のバーチャル演出とリンクして、建物自体が“スクリーン”として機能しているのが技術的にもユニークです。
また、床下やバックヤードに配されていた配管・設備機器の露出レイアウトを見ると、施工性と将来の再利用・再設置を想定して、メンテナンス性も強く意識されていると感じました。
■ 仮設だからこそ試される、持続可能な施工技術
全体を通じて、万博の建築群は「仮設=安普請」というイメージを完全に覆すものでした。
再利用可能な部材構成、解体しやすい納まり、自然素材との融合といったテーマは、私たちが普段取り組むリノベーションの現場にも通じる学びが多くありました。
特に、短工期・限定予算という制約の中で、いかに品質・デザイン・環境性能を確保するかという点は、私たち施工職の課題でもあります。
■ おわりに:技術者としても得るものが多かった一日
家族で楽しんだ一日ではありましたが、建築や施工に携わる者として、非常に多くの技術的ヒントと刺激をもらえる機会でもありました。
こうした**「未来を見せる仮設建築」**は、今後の住まいや施設づくりにも活かせる部分があると感じています。
またぜひ訪れたいですし、次回は工事中の裏側やディテールにももう少し注目して見学してみたいと思います。
■ まとめ
いろいろな評価もある万博ですが、橋浦家はしっかり楽しみつつ、個人としても建築的な見どころも満喫できた1日でした。
建築や空間に関心のある方も、ぜひその視点で訪れてみてください。
次こそは、花火ショーのリベンジを誓っております!