匠の会旅行 part2(安藤忠雄 建築編) |新着情報|ウッディライフ

匠の会旅行 part2(安藤忠雄 建築編)

🚌自然と建築の原点をたずねて──協力業者の皆さんと訪れた「夢舞台」と「水御堂」

こんにちは、施工課の橋浦です。
先日の設計の山崎のブログに続いて、匠の会旅行第二弾の「安藤忠雄 建築編」を書いていきたいと思います。

 

日頃からお世話になっている匠の会(協力会社)の皆さんと共に、訪れたのは、建築家・安藤忠雄氏の代表作である「夢舞台(淡路島)」と「水御堂(大阪・本福寺)」です。
コンクリート建築でありながら、そこにあるのは無機質さではなく、むしろ自然との対話でした。
安藤さんの建築は、自然素材こそ用いていませんが、その空間の在り方や自然との向き合い方には、私たちの家づくりと通じるヒントが多くありました。
木材は使われていないにもかかわらず、空間から感じる静けさ、光、風の通り道には、木の家づくりに通じる大きな学びがありました。

第一幕:淡路夢舞台──傷ついた自然を取り戻す“再生の建築”
夢舞台は、阪神淡路大震災の復興事業の一環として整備された淡路島の複合文化施設だそうです。
元は山が大規模に削られた跡地。この荒れた土地を前に、安藤氏は「自然を壊した場所に、もう一度自然を植える」というコンセプトでこの建築を造ったそうです。
実は家族旅行でも3月に淡路島へ行ったのですが、淡路夢舞台は行けなかったので、とても楽しみにしていました。

安藤さんの建築らしく、コンクリートの回廊や幾何学的な建築が広がる一方で、その中に風が吹き抜け、光が落ち、無数の植物が息づいている──そんな「自然と建築のハイブリッドな共生空間」が広がっていました。

中でも印象深かったのが「百段苑(ひゃくだんえん)」。
100区画の花壇が階段状に積み重なり、それぞれに四季折々の草花が植えられています。
規則的な石の階段に沿って100個の花壇が並び、そこに世界中から集められた草花が咲き乱れています。

幾何学の整然とした秩序の中に、自然の生命力があふれる構成はまさに人為と自然の対話。
空と風、植物と光が呼応するような美しさがありました。
訪れた時期には、紫陽花が咲いていて、コンクリートの中に生命の色と、海が一望できる風景に、私たち一同、言葉を失うほどでした。
また、長く続くプロムナード(回廊)や水盤のあるテラスなど、歩くことで見え方が変わる空間構成も魅力でした。
まさに「歩く建築」──体全体で自然と空間を感じる場所でした。

私たちが無垢材や漆喰などの自然素材を使って空間をつくることと、安藤忠雄さんがコンクリートを通じて自然を迎え入れること
──素材は違えど、目指している方向には強く共鳴するものがありました。

第二幕:水御堂──静謐をたたえる“祈りの空間”
二つ目は、本福寺の水御堂。
こちらは、内面世界へと静かに降りていくような空間でした。
まず目に飛び込んでくるのが、蓮の池に浮かぶ大きな楕円形の構造物。

お堂へはこの池の下へ、コンクリートの階段を降りて入っていきます。
このプロセス自体が、まるで心の奥へと沈み込んでいくような感覚でした。

階段からふと上を見上げると、切り取られたように青空が見えました。さすが安藤忠雄さんだな、思わずため息が出ました。

堂内は静謐で、蝋燭の灯りやわずかに差し込む自然光が、空間に緊張感と安らぎを同時にもたらしてくれるような印象でした。(お御堂は撮影禁止でしたので、回廊まで)

外の世界と切り離され、精神が浮き彫りになるような場でした。
ここでは安藤さんの建築が「沈黙を演出する力」を持っていました。表面に現れているのはシンプルなコンクリートと水だけ。
しかし、御堂に入った瞬間に感じるのは、湿度の変化、音の反響、光の角度、風の揺らぎ……
そうした五感の変化が、訪れる人の心を静かに整えてくれるのだと思いました。

この空間には、**“コンクリートなどの建材以上の力”**が宿っていると感じました。
今回の旅行で、安藤忠雄さんが表現した建築の体験を協力業者の皆さんと一緒に体感することができました。

普段、現場ではそれぞれの業者さんは専門分野に集中することが多いものです。
しかし今回のように、時間と空間を共有しながら**「空間そのものに身を置いて感じる」**という経験は、私たちと匠の会のメンバーにとって、とても貴重なことでした。
職人さん、大工さん、建材屋さん、設計メンバー、現場監督。それぞれが自分の立場で気づきを共有しながら過ごす時間は、普段の現場の延長では決して得られない学びでした。

コンクリートであれ、無垢の本物の木であれ、住まいや建築はただの建物ではなく、**「人と自然とをつなぐ場」**です。
私たちが手がける自然素材のリフォームやリノベーションも、決して素材の魅力だけでは語れません。

・無垢材や自然素材をどう活かすのか
・風の通り道をどこに設けるか
・明るさと落ち着きのバランスをどう配置するか
・漆喰を活かす壁の塗り方とは

そういった設計の意図や感覚的な手法と、本物の素材を活かす職人さんの技によって、自然素材の家はより“心を安らげる空間”へと変わると考えています。

今回の旅行では、「素材の良さ」だけで終わらない、“空間をととのえる”という視点の再確認になりました。
私たちの家づくりは、設計だけでなく、現場で施工してくれる大工さん、水道・電気の設備職人さん、建材を届けてくれる業者さん
……多くの人の力で成り立っていると、改めて感じることができました。

そしてこの匠の会の旅行は、そうした仲間たちと**「もっといい家をつくりたい」**という共通の気持ちを再確認する場にもなりました。
「夢舞台」と「水御堂」という、安藤忠雄さんのコンクリート建築から得た学びを、今後の私たちの家づくりにもしっかり活かしていきたいと思います。

ご一緒いただいた皆さま、二日間の旅行本当にありがとうございました!
また来年の匠の会旅行も楽しみにしています!

株式会社 WOODYYLIFE 

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