リノベーション工事の検査
こんにちは。WOODYYLIFE施工課の倉地です。
今回は、私たちが日々取り組んでいる「リノベーション工事の検査」についてお話しさせていただきます。
「検査」と聞くと、少しかた苦しい響きがあるかもしれません。でも、私たちにとっては、お客さまの大切なお住まいをお預かりするうえで、とても大事な“想い”のこもった仕事なんです。
住宅工事の検査
家を建てるときには、たくさんの工程があります。その一つひとつが計画通りに進んでいるか、問題がないかを確認するのが「検査」です。
例えば床が水平かどうか、壁がまっすぐ立っているか、基礎の高さが合っているか…。こういった「当たり前」のことを、丁寧に確認していきます。
最近の一般的な新築住宅の場合は、柱や梁など家の骨組みとなる構造材は基本的には工場で加工され、大工さんが下げ振り(建築用の垂直を取る道具)を使いながら、慎重に組み上げていきますので、基本的には精度も高くなります。
でも、人の手でつくる以上、思い違いが起きる可能性はあり、やっぱり見て・確認することが大切なので検査を行うわけです。
新築のように基本的な工事の流れが一定であれば、工程に沿って、常に一定の基準を持って検査を行うことができます。
リノベーションでは「現場ごとの違い」がカギになる
一方、リノベーション工事は、新築とはちょっと違います。
建物の築年数や使われ方はもちろん、過去にどんなリフォームがされてきたか、目に見えない部分がどうなっているかなど、一棟一棟まったく異なります。
たとえば戦後間もない築80年のお家は材料が不足してため、それ以前に使われていた材料が流用されている場合があります。また、築50年のお家と築20年のお家でも、基礎のつくりも、壁の中の構造材の状態も全然違います。また、リノベーション工事を行う範囲や規模によっても検査内容は変わってくるため、毎回検査内容が同じ、というわけにはいかないのです。
そういった中で、WOODYYLIFEではこれまでたくさんのリノベーションを手がけてきた経験を活かして、自社独自の検査基準をつくり、どんな現場でもしっかり確認できるようにしています。それでは、私たちがいつも行っている検査の一部を紹介していこうと思います。
工事が始まったら、まずは「養生の検査」から
リノベーション工事が始まると、最初に行うのが「養生(ようじょう)」です。 これは、工事しない部分を傷つけたり汚したりしないように、ビニールシートやベニヤ板などでしっかり保護する作業です。
場合によっては、お客さまが住まわれたままの状態で工事を行うこともありますので、ホコリの対策や通路の確保などもとても大切です。私たちは2日ほどかけて丁寧に養生をし、その仕上がりを検査します。
お住まいをお借りして工事をする以上、少しのキズや汚れもあってはならない。そんな気持ちで、細心の注意を払っています。
解体工事後の検査
リノベーションは、解体から本格的にスタートします。
この解体工事では、図面にはない「建物の中身」が見えてきます。柱や梁が思っていた場所にない、雨漏りの跡がある、シロアリの痕跡がある…。こうした“想定外”の発見があるのも、リノベーションならではです。
だからこそ、解体が終わった段階で、しっかりと検査を行います。
予定通りの範囲が解体されているかだけでなく、構造材の傷みはないか、配管のスペースが取れるか、隠れていた不具合はないかなど、次の工程へ進める準備を整えます。また、お客様に骨組みがあらわになったお家を見ていただき、この家がどういう構造で建っているのかも説明させていただきます。
このタイミングでは、写真のように新築当時に棟梁によって書かれた記録を見ることもあります。お客様のご先祖が建てられた時の想いや、住み継ぐことを決めたお客様の想いを感じ、気を引き締めなおす瞬間でもあります。
基礎工事の検査
古いお家では、基礎が今の建築基準とは違っていることもよくあります。
たとえば、石の上に柱が置かれているだけだったり、鉄筋が入っていないコンクリートだったり。そういった場合には、新しく基礎を補強したりすることもあります。
この工程では、掘削の深さや鉄筋の配置、コンクリートの厚みなど、図面通りになっているかを一つひとつ確認していきます。とくに既存の基礎と新設の基礎がつながる部分は、強度に関わるとても重要なポイント。丁寧に見ていきます。
木工事の検査
柱や梁、床や壁の下地を組み立てる「木工事」も、チェックするポイントがたくさんあります。
床が水平か、壁がまっすぐ立っているか、棚の高さや位置は図面通りか…。細かなことのようですが、暮らしやすさや見た目の美しさにもつながる大事なところなんです。
また、開口部(窓やドア)の位置がずれていれば、後々の仕上げにも影響してしまいます。だからこそ、それぞれのタイミングでの検査は特に念入りに行います。
余談ですが、40年ほど前までのお家では大工さんが自ら構造材に墨付けを行い、加工していく「刻み」という作業が主流でした。丸太のいびつな形状に墨を打ち、鑿でほぞ穴をあけていくこの仕事は、工場加工のプレカット材が主流となった現在は失われつつあります。
丸太の梁を見たことがないという大工さんも出てきていると聞きます。時代の流れなので仕方ないことですが、40年以上前の家をリノベーションができる大工さんも減りつつあることは今後のリノベーションを考えていくうえで大変重要な課題だと思います。WOODYYLIFEでは刻みを経験してきた腕の良い大工さんに工事をしてもらっています。それでも間違いのない工事を進めていくために、検査をしっかりと行っていきます。
そのほかの検査もたくさんあります
断熱材を入れるとき:隙間ができていないか、きちんと厚みがあるか
電気の配線が終わったとき:スイッチやコンセントの位置は合っているか、安全性は問題ないか
内装や外装が仕上がったとき:塗装にムラはないか、仕上がりはきれいか。
こうした検査は、現場ごとに柔軟に内容を変えて対応しています。
「誰が見ても同じ品質」を目指して
経験豊富な監督でも、チェックするポイントがバラバラでは品質が保てません。とくに、リノベーション工事のように複雑な現場では、小さな見落としが後々のトラブルにつながることもあります。
だから私たちは、人に頼らない、基準に頼る仕組みづくりを進めています。
検査項目をきちんと整理して、誰が見ても同じ基準で判断できるように。そして、定期的に監督同士で意見をすり合わせて、「こんな場合はこう対応する」という考え方を共有するようにしています。
最後に
リノベーション工事は、お客さまの“今までの暮らし”と“これからの暮らし”をつなぐ、大切な節目です。だからこそ、私たちは「見えないところ」にこそ真剣に向き合い、丁寧に検査を重ねています。
お客さまの大切なお住まいをお預かりしているという気持ちを忘れずに、自分の家をつくるつもりで、心を込めて仕事をしています。
これからもWOODYYLIFEは、安心と信頼をお届けできるリノベーション工事を目指して、ひとつひとつの現場に向き合っていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社WOODYYLIFE(ウッディライフ)施工課 倉地